食品のロス削減の活動の1つに「フードバンク」がある。
フードバンクとは、家庭や企業から余った食料を集め、
それを必要とする人や場所に配る活動のこと。

「フードバンク」について詳しく説明するよ! ここをクリックしてね!
そんな食料支援の最前線に立ち、
私たちに笑顔をもたらす活動に従事する方々にスポットライトを当てるのが、
このインタビュー企画である。
三回目の今回は、特定非営利活動法人(NPO)フードバンクいるまで務められている
代表理事の田中満枝(タナカミツエ)さん
副代表理事の佐藤和人(サトウカズト)さん
事務局長の上山武夫(カミヤマタケオ)さん
以上3名の方にインタビューさせていただきました。
【団体の情報】https://fb-iruma.com/Facebook
活動を始めたきっかけは何でしたか
障がい者や生活困窮者支援の中でフードバンクをやりたいという話になり、
趣旨に賛同したメンバーと一緒に少しずつ活動を始めました。
最初は顔の見える人に声を掛け合って集まり、出来ることから始めていきました。
フードバンク事業が軌道に乗り、周知されてからは多くの市民の皆様からご支援をいただけるようになりました。
急速的に規模が大きくなり、本格的に活動を行うべくNPO法人化の検討を始め、
2021年10月1日にNPO法人として設立いたしました。


取り組んでいることについて教えてください!
主に企業で出る棚に置けないものや家庭に眠っている食品をお預かりして、
食事に困っている人に届けるという活動をしています。
企業や市民の皆さまから様々なご支援をいただき、
市内に50箇所以上の食品を集める拠点(フードドライブ)を開設いたしました。
食品の提供のほか、資金面での支援、労力の提供、運搬協力など多岐にわたる支えの中で活動を展開しています。


食事に困っている市民に対して、2つのサポートをしています。
1つは「間接的」な食料支援です。市役所や社協や地域包括支援センターを通じて定期的に食料をお渡ししています。
もう1つは「直接的」な支援です。条件の異なる2種類のフードパントリーを企画し、毎月そのどちらかを開催しています。
ひとり親家庭(児童扶養手当受給世帯)への支援と高齢者や障害のある方で生活に困窮している世帯です。
ここでは食料のほか絵本や図書なども提供することがあります。
食料だけでなく、広く文化にも触れていただきたいと思っています。
「本が買ってあげられなくて・・・」との保護者の言葉はショックでした。
また、市内に30団体以上ある子ども食堂や子どもの居場所作り、
フードパントリーやサロン等を開催している団体へも食品を供給しています。
食料提供のほかフードパントリー対象者を招待し、ブルーベリー狩りやジャガイモ堀体験に招待しています。
これらの体験を通して豊かな感性を磨いてほしいと願っています。


アピールしたい点として、いるま市のことはいるま市で行うというのを基本としていて、主な対象世帯を限定しています。
また、地域住民の協力(ボランティア)によってその活動が支えられています。
特に市内の5つの中学校の校長に理解いただき、
中学生の方々もボランティアとしてフードパントリーに参加していただいています。
また、私たちフードバンクいるまでは子供達にボランティアを通じて人の役に立つという経験をしてもらい、
自分自身の価値観など人生において重要なことを学んでいっていただきたいと願っています。


最終的に目指したい社会はどういったものですか?
地区センターや包括支援センターなど身近なところに食料庫を用意していき、
食が必要な人にすぐ手が届く社会を作りたいと考えています。
人との繋がりを作って食べられない人をなくし、
孤独を減らし無くしていくことを目指しています。


活動で特に課題に感じていることはなんでしょうか?
フードバンクいるまの活動の中でも高齢化が進んでおりまして、10年後にこの活動が続いているかどうかが心配されます。10年後にもこの活動が続いているように引き継いで活動してくれる若い力が必要です。
ぜひ若い力をこの活動にも注いでいただきたいです。
学生に向けて、伝えたいメッセージがあればお願いします!
大学生や20代の方々にはぜひボランティアなどの活動に参加してみてほしくて、
そこを通じて誰かの役に立ったという喜びを感じてみて欲しいです。
これまでの前例などを取っ払って若い人の柔軟な発想でいろんなことに挑戦して、みんなで共有して、
困っている人をみんなで支えようというフードバンクの考え方を念頭に入れて活動していただければと思います。
ぜひこの記事を見た入間市近辺の大学生や若い方に
フードバンクいるまの活動に参加していただき支援していただくことを期待しています。


また、特に若い方には貧困というものの実態が分からない方が多いと思います。
こことは別のホームレスの方が月2万円で生活している方もいらっしゃいます。
こうした実態もあることを知っていただきたいと思います。
そういった方々の生活の実態もある中で中学生や高校生、
あるいは一人親の家庭などの見えない貧困が非常に多くなってきている、
そういったことを感じていただけるセンスを若い方にぜひ持っていて欲しいです。
それと合わせて支援しているところに実際に足を運んでいただいて、1度でも体験していただきたいと思います。
ちょっと時間が出来た時にそういった活動に参加して、体感していただければ嬉しいです。
最後に、これだけは伝えたいということはありますか?
もうほとんど話してしまいましたが、私たちの一番の課題は活動を支える基盤を整えて、
需要に見合った供給が出来るようなスタッフを集めたいということですね。
これからも参加できるボランティアを増やしていきたいと考えています、
若い方にも気軽にボランティアに参加していただけると私たちとしても嬉しい限りです。
編集後記
今回で3回目となる当法人のインタビュー企画。
今回は、埼玉県入間市を拠点に活動を広げている「フードバンクいるま」さんにお話を伺いました。
インタビューを通じて改めて感じたのは、
フードバンクを含むボランティア活動において、大学生や20代の若者の参加が少ないという現状です。
「フードバンクいるま」さんでも高齢化が進んでおり、地域での活動の中でその課題を強く意識させられました。
しかし、これは逆に若者にとってチャンスでもあると私は感じています。
同世代が多い学校や職場と違い、年齢層が高いコミュニティで若者が参加すると、
それだけで注目を集めることができるのです。
「注目されることに何の意味があるのか」と思われる方もいるかもしれませんが、
人生経験豊富な先輩方と一緒に何かに取り組むことは、若者にとって非常に貴重な学びの場となる可能性があります。
しかも、そんな環境で若者が求められている今こそ、何か新しい挑戦をする絶好の機会ではないでしょうか。
インタビューの内容は、当法人のウェブサイトやSNSで発信していきます。フードバンクの認知拡大のために、ぜひ情報拡散にご協力いただけると幸いです。